2020→2021冬支度 たわし水槽のヒーター交換
この冬も、ヒーターを交換しました。いろいろ調べたり、新しい商品を試したりしたので紹介します!
亀は変温動物。越冬にはヒーター加温を!
われわれ亀はいわゆる変温動物なので自分で体温調節ができず、水温・気温によって体温が上下します。体温が下がると、食欲・代謝も下がり、体力も消耗するし、病気にもかかりやすくなります。温度管理は亀の健康に直結するのです。
野生下では厳しい冬を乗り切るため、冬眠してやり過ごします。飼育下で冬眠するでもなく、中途半端に体力だけ消耗する低温環境は亀の健康と寿命を損なうおそれがあります。ぜひヒーターの導入をおねがいします。
冬眠について
ちなみに冬眠もリスクがあり、怖くてたわしはいままで一度も冬眠をしたことがありません。安全な冬眠には十分な知識と準備が必要なので、健康な亀でも、冬眠しなくて済むならそれにこしたことはないというのがたわし水槽のスタンスです。
夜の冷え込みにも注意
昼間は問題なくても、夜になると冷え込むので注意が必要です。ヒトのための暖房を切っている夜間、昼との温度差が大きすぎて体調を崩すこともあります。
たわしは夜は陸で寝る習慣があるのですが、陸場は夜は冷えるので、寒い季節になると食欲が下がりがちになります。そういう時は夜の陸寝を制限されることで食欲が回復したりするので、日中だけでなく夜の温度管理も大切だと身をもって実感しています。
夏場もクーラーが効いた部屋では寒くなる
去年の夏のわが家はクーラーがよく効いていて、水温も影響をうけていました。そんな環境では、夏場でも加温してもらった方が体調(食欲)が安定したように思います。
ヒーターは消耗品。安全のために毎年交換を。
ヒーターの故障はけっこう怖いです。温度センサーの機能が壊れてしまった場合、高温になり火災・茹で亀・火傷など危険があります。加温機能が壊れた場合、一気に冷水になります。急激な温度変化は、亀の体調を崩す可能性があります。
ほとんどのヒーターは1年交換が目安とされています。たわし水槽でも以前、知らずに何年か使っていたヒーターが故障して一夜にして冷水になった経験があります。
安全マージンがあると思うので実際にはもうちょっと使えたりもしますが、安全なうちに交換をおすすめします。
実はたくさんある火災の注意喚起
水槽ヒーターが原因の火災は、消防・自治体なども多数発信しています。焼けコゲた水槽の画像を見ると、注意しようという気持ちになるはずです…!
安全装置はあくまで火災防止
ヒーターには安全のための機能や規格もありますが、あくまで火災防止を想定したものです。具体的には、表面温度が400度を超えないように設計されています。
水槽が高温になるような事故に対応した機能ではなさそうです。「最悪、故障しても安全機能があるから…」と思っていてはいけません。壊れる前に、必ず定期交換しましょう!
みのりのヒーターが壊れたようで、水温55℃という火傷するレベルの温度になっていました。
朝の水温チェック時は異常なし。
運動を兼ねてみのりを水槽から外に出して歩いてもらっている時だったのでみのりに怪我や火傷はありません。
陸地があるとはいえ水槽の中にいたら大変なことになっていました。— 鈴木 理水 (@risuistonejewel) October 10, 2020
ヒーター選びで注意したポイント
SHマーク/SPマーク
ペット用品工業会(旧:観賞魚用ヒーター安全対策協議会)にて制定された適合規格です。空焚き火災を防ぐため、空気中での表面温度などの基準をクリアした商品に付いています。
メジャーどころにはだいたい付いていると思いますが、念のため確認してから買いましょう。
認証団体の合併によってSHマーク→SPマークと改められていますが、認証基準はほとんど変わらないようなので、どちらを選んでも構わないと思います。
空焚き防止機能
空焚きとは、水中用ヒーターが水から出て空気中で加熱することです。水で冷えないので過剰に高温になり、火災の危険があります。サーモスタット用のヒーターでは、サーモスタットの温度計部分が空気中に出てしまっても同じ状態になり、茹で亀の危険があります…!特に亀水槽では、亀の腕力でヒーターを移動させて予期せず空中に露出する可能性があります。
空焚き防止機能は、高温になるとヒューズが飛んだりして火事を防ぐ機能です。これもメジャーどころにはだいたい付いていると思いますが、念のため購入前に確認したほうがいいかな、と思います。
縦置きOK
亀の腕力は強いので、吸盤で固定しても引きはがしたり、移動させたりすることがあります。想定外に縦向きになる可能性があるので、縦置きOKモデルの方が安心かな、と思います。
ただしはじめから縦置きにすると、亀パワーで動かした時に一部水面から出てしまう恐れがあるので基本的に横置きにしています。
出力(ワット数)
だいたいどの商品もいくつかのワット数のバリエーションがあるので、水量に合わせたサイズのものを選びます。
商品によっては「60cm水槽以下」といった表記もしていますが、亀水槽では水量MAXにしないことが多いと思うので、「水量約○L以下」といった水量の目安を参考にした方がいいかな、と思います。
室温にも注意
水槽の水温は室温の影響を受け、ヒーターがあっても室温が低すぎると十分に暖まりません。製品によって違いますが、だいたい10度~15度を下回ると、適切なワット数のヒーターを使っていても設定温度をキープできないようです。
日中はともかく、夜間は部屋の暖房もなく冷え込むので、この冬は窓の防寒グッズが導入されました。窓からの冷えを防ぐもので、多少は効果があったように思います。
▲窓に直接貼る断熱シートです。
▲カーテンレールからぶら下げて足元の冷気を防ぐものです。
▲サッシの金属部分に貼る断熱材です。
メモリ機能付き水温計で夜間の温度を確認
夜間の冷え込みで水温が設定を下回っていないか、最高/最低温度を記録するメモリ機能が付いた水温計で確認しています。さすがにたわし水槽の構成なら、多少冷えたところで出力不足になることはないと思いますが…。
サーモスタット+オートヒーターの冗長構成×2
サーモスタットとヒーターで温度制御を2段構えにすることで、どちらかの温度センサーが故障しても温度が制御できるような構成にしています。高温で茹で亀になるのを防ぐためのものです。
さらに、これを2セット用意して、片方が故障で止まっても冷水にならないように備えています。
買い替えにあたって新しく考慮したこと
ダイヤル調節タイプ
GEXは亀用は28℃設定というこだわりがあるみたいですね(くわしくは以下のスレッドへ)。26℃くらいでもぜんぜん元気ですが、たしかに夏場など常温で28℃くらいあるけど、食欲も増してより元気に過ごせている気がします。温度が高いので当たり前ですが。
レビューに亀に使用してるコメントがあったので購入したら、これ亀ダメじゃんけ😭 pic.twitter.com/K1zo4LAlXp
— しゃがら@いきもの垢 (@shagalla1103) October 26, 2020
そこで、この冬は28℃前後の設定をためしてみたいな、と今回は28℃設定が可能なヒーターで探しました。
温度固定式は、基本26℃ばかりなので、温度調節式のモデルを選びました。
サーモスタット接続専用のヒーターにしてサーモスタット側で調節する方法もありますが、安全のためサーモ+オートヒーターの2重制御をやりたいので却下になりました。
出力の余裕
昨年は「故障しても気付けるように」と、少し小さい出力を選びました(水量50Lの水槽に対して「水量目安44L以下」のモデル)が、今回はなぜか2台とも水量目安50L以上のものを選んでいます。
2台構成なので出力は余裕すぎる状態です。血迷って買っただけであんまりメリットはないです。
昨年のヒーター構成
ヒーター2台構成です。すべてコトブキ工芸で揃えました。「ICパワーサーモET-300X」に、「ツーウェイオートSP」「セーフティヒーターSP」をそれぞれ接続しています。
ほんとうは2台ともオートヒーターにするつもりでしたが、間違えてオート調節機能のないサーモスタット接続専用のモデルを買ってしまいました。
使ってみた感想
- 動作中ランプのようなものがヒーター本体には無いので、ちゃんと動いているかどうかわかりません。よーく見ると温められた水が温度差で「ユラァッ…」ってなってるので見分けるか、直接触って確認する必要があります。実は1台故障して止まっていたのですが、しばらく気付きませんでした(2台あるので、温度はそんなに変わらず。ちょっと上がりにくいな、というのから発覚しました)
- 1台故障しても水温が安定していたので、2台構成にして正解でした。今後も引き続き、2台体制でいきたいな、と思います。
- サーモスタット2台は、コードがかなり多く感じます。安全には替えられませんが、コンセント部も多くなるので水滴に漏電には注意が必要かな、と思います。
- カバーはセーフティヒーターSPで試しましたが不要でした。というか、各社共通サイズなのに肝心のコトブキの最新モデルではサイズが合いませんでした…。
今年のヒーター構成
前年と同じく、サーモ+ヒーターの2セット構成です。ヒーターは2台とも温度調節式のオートヒーターです。
サーモスタット
昨年のものを引き続き使用しています。サーモスタットの耐用年数はよく分かりませんが、とりあえずコードが白く変色したり硬くなっておらず、テストしてちゃんと温度制御できていれば大丈夫かなという判断で使っています。
ヒーター1台目
昨年使用していたもののダイヤル調節モデルです。
ダイヤル部分に動作中ランプがついており、稼働状況が確認できます。去年の温度固定モデルで感じていた不安な点が解消されました。
サーモスタットとメーカーを統一できる安心感もあります。
ヒーター2台目
エヴァリスというメーカーをこれまでよく知らなかったのですが、ヒーター等の水温管理用品に注力する国内メーカーで、信頼性がありかつ安価と定評があったので試してみました。
金属製のヒーターカバー付きですが、コトブキのツーウェイオートMDよりややコンパクトです。コードの向きが2方向に固定できて(マルチラインホールド機能)取り回しが便利。使い勝手はコトブキのよりいいかも…!?
使ってみた感想
28℃は高すぎる?
食欲はとても活発になります。代謝も活発で水の汚れは早いです。そんなに高くしなくても、27℃くらいの設定がちょうどいいかな、と思いました。
ダイヤル調節は便利!
温度設定が調節できるのはとてもよかったです。ベストな設定温度は環境の違いや個亀差があると思うので、食欲や排便量を見ながら調整できるダイヤル調節タイプはかなりオススメかな、と思いました。
コードの取り回しが難しい
上下の設置向きが固定なので、コードの向きも決まってしまい、思った通りに設置しにくい面もありました。
最終的にはエヴァリスをムリヤリ右に置いていますが、コトブキの方はコードが固くて反対側には置きにくいと思います。
ヒーター利用時の注意点
設置前には必ずテスト
初期不良がないか、テストしてから水槽に投入しましょう。
新しいヒーターに入れ替え!
この冬はコトブキのMDとエヴァリスの2台を試します。とりあえず今日はエヴァリスの方をテストして投入!
GEXがこだわってるとウワサの28℃に設定しました。#亀 #カメ #クサガメ #ヒーター pic.twitter.com/BrzvJR7FOC— クサガメたわし (@tawashi_studio) December 10, 2020
設置向きに注意
出典:コトブキ ツーウェイオート SP シリーズ 取扱説明書
センサー部とヒーター部で上下が決まっています。誤った置き方をすると適切な温度にならないので、必ず向きは守りましょう。
水流をつくる
水を撹拌するよう、フィルター等を使って熱が滞留しないような環境をつくりましょう。熱の偏りがあると、一部以外が低温のままだったり、局所的に高温だったりと、適切な温度管理ができない恐れがあります。
まあ亀が泳いだらけっこうかき混ぜられるんですけどね…。
水槽外に出す場合は事前に電源OFF
加温中は高温になり、電源を切ってすぐ水中から出すとヒーターが熱で痛んで故障の原因になります。
そうじ等で取り出す場合は、コンセントを抜いて10分~15分程度冷やしてから水中から出すようにしましょう。
サーモスタットの水温計部分の固定
▲力技でヒーターを上にズラし、サーモスタットや温度計のセンサーの吸盤をはがしている
センサーが水面より上に露出してしまうと高温になり茹で亀状態になる危険があります。
他の設備に固定したり、おもりを付けるなどして水面上に浮き上がらないよう工夫したほうが安心かな、と思います。
▲たわし水槽では、とりあえずダブル吸盤で対応
その他、検討した製品などなど
コトブキの新商品はツイン回路
2020年8月発売の新モデルです。たわし水槽では故障に備えて2台体制にしていますが、それを1台でやろうというコンセプトの商品です。メンテナンスの手間が省けて、配線がすっきりしそう。ただ片方壊れたらまとめて交換になるし、オートヒーターではないので見送りました。
サーモスタットも新型が発売
2020年8月発売の新モデルで、温度設定がデジタルになっています。旧モデル同様、オートヒーターとの接続OKで、次回買い替えの候補かな、と思います。
亀用の製品
「カメ用」を謳うヒーターとしてはGEXのこちらがあります。唯一28℃温度固定式のオートヒーターですが、「適合水槽:約18L以下(小型水槽)」と小さいので選択肢には入りませんでした。
GEXは2年保証 でも交換目安は1年
よく分からないので、つまり2年使えるということですか?という問い合わせをしてみましたが、やっぱりよく分かりませんでした…。
本来ヒーターの交換目安は1年になります。
2年保証はユーザー登録していただいたお客様への特典になります。
必ずしも1年で故障するということはございませんが、ご使用中に購入後1年弱経過しても2年保証へのご登録が完了されていましたら製品のご交換をさせていただいております。
※レシート等は紛失されずお取り置きをお願いいたします。
新ヒーターシリーズ 「ユーザー登録」特典のお知らせ|熱帯魚 観賞魚 アクアリウム用品 ジェックス株式会社
GEXは一部製品でリコール中
弊社が2014年8月より販売しておりました観賞魚用オートヒーター「セーフカバーヒートナビSHシリーズ」において、通常使用時は問題ありませんが、使用状況によってはサーモスタット部が異常発熱し、本体が焼損する事例を確認いたしました。現在、対象商品の販売は終了しておりますが、弊社といたしましては万全を期して、お客様のお手元にございます「セーフカバーヒートナビSHシリーズ」を返金 させていただきます。
回収に関するお詫びとお知らせ ジェックス製・観賞魚用オートヒーター セーフカバーヒートナビSHシリーズ ジェックス株式会社
販売終了とのことですが、念のため購入の際はご注意ください。また、リコール直後は通販で買えてしまう場合もあると思うので、購入前にメーカーサイトを確認するとより万全かな、と思いました。
おわりに
以上、たわし水槽のヒーター交換にあたって集めた情報やポイントを紹介しました。毎年のことですが、調べるたびに新しい気付きや、新商品情報も出てきます。
こうすれば100点満点、ということはないと思うので、調べたり考えたりして情報と環境を更新していきたいな、と思います。
▼昨年の記事はこちら!